Q&A

12 次へ

HTLV-1母子感染に関するQ&A

確認検査で陽性あるいは判定保留となった妊婦が離島に住んでおり、分娩後定期的に協力施設まで子どもを連れて来院することが困難なようです。どうすればよいでしょうか?

予めHTLV-1母子感染対策協議会や周産期医療協議会で対応を決定しておいた方が混乱を生じないと思います。居住地域に小児科医あるいは保健師がいるのであれば、その方にフォローアップをお願いし、得られた情報をもとに協力施設でWEB入力していただくのがよいかと思います。協力施設にあてがわれたIDや入力者のID、パスワードを外部の方に教えてしまうと、該当者以外の個人情報が漏れてしまう可能性があります。

倫理委員会承認直前に出生した新生児です。これから登録をすることができますか?

できません。研究プロトコール違反となるためです。妊娠中にHTLV-1キャリアもしくは、判定保留となった段階で登録する研究だからです。

倫理委員会承認が得られた事を研究班の「お問い合わせ」のメールを通じてお知らせしましたがフォローアップ手帳やエジンバラ産後うつ病尺度、PSI育児ストレスインデックス等の資料が届いていません。

倫理委員会の承認が得られた施設にはこれらの資料を送りしています。送付先が貴施設の産科責任者の先生あてになっていると思われますので、ご確認ください。そちらにもないということでしたら、「お問い合わせ」のメールを通じてご請求ください。

WEB登録をしたのですが誤って入力してしまいました。修正しようとしたのですが画面上ではできませんでした。どうすればよいのでしょうか?

修正は本研究の管理者以外はできないようになっています。研究班のホームページの「お問い合わせ」にその旨をお書き頂きお送りいただければ対応いたします。

WEB登録はだれが、どの段階で行うのでしょうか?

近隣の産科施設から紹介があり、本研究への参加が確認された段階で研究協力施設の産科医師が登録することになります。分娩後は協力施設の小児科医が診察した児の情報を入力します。なお、施設ID、入力者IDおよびパスワードは各施設に一つずつです。

なぜPCR法で陰性であった妊婦から出生した児に対して長期間(3ヵ月以上)母乳栄養を行ってはいけなのですか?また、出生した児をフォローアップしなければならないのでしょうか?

これはPCR法に測定限界があるためです。10万個のリンパ球で1~数個以上の感染細胞があれば、PCR法陽性となりますが、それ以下だと陰性となります。現状では、PCR法で陰性であっても完全にウイルスが存在せず、絶対に母子感染が起こらないと断定できないのです。しかし、感染のリスクは極めて低いと考えられます。厚生労働科学研究齋藤班では、PCR法陰性者に対して「完全にキャリアを否定することはできないが、人工乳を勧めるエビデンスはない」としています。今回のコホート研究によりこの点を明らかにすることができると考えていますので、是非お子さんのフォローアップにご協力ください。理論上は、極めてウイルス量が少なく母子感染のリスクは低いと考えられますので、4ヵ月以上の長期母乳も選択肢に加えて担当医と相談のうえ決定してください。なお、完全な人工栄養でも約3%に母子感染がおこりますので、PCR法が陰性であってもこれ以下に母子感染を減らすことは困難です。

妊娠32週あたりで分娩となりそうな妊婦さんです。確認検査で陽性でした。新生児科医としては、新生児壊死性腸炎や感染症の懸念などから母乳を与えたいと思いますが、問題はないですか?

早産で出生することになっても、原則として事前に母親の意思を確認する必要があります。しかし、乳汁の選択にあたっては正期産児とは若干説明内容が異なってくると思います。以下のような説明をなさってはいかがでしょうか。 在胎32週以下の早産児では、人工栄養の使用によって新生児壊死性腸炎や感染症などによって生存の危険性が脅かされる可能性が高くなると思われます。このリスクを少しでも減らそうとするならば、一般に母乳を使用することが奨められています。一方、より早産で出生した児ほど母体から胎児へのHTLV-1移行抗体(HTLV-1のウイルスとしての感染力を中和する働きを持つ)の量は少ないと考えられ、冷凍せずに搾乳したままの状態で母乳を与えることによって早産児の感染のリスクが高くなる可能性が推測されます。しかし、現時点では、この点の医学的な検証も不十分です。母子感染のリスクと早産児の人工栄養によるリスクのバランスを考慮すると、多くのNICUで行われている冷凍母乳の使用が無難ではないかと思われます。

妊娠32週直前のスクリーニング検査で陽性でしたが、ウエスタンブロット法による確認検査の結果を待たず分娩となりそうな妊婦さんがいます。この場合でも本研究に登録することは可能ですか?

ウエスタンブロット法による確認検査結果が出ていない段階では登録することができません。

短期母乳や冷凍母乳を選択したとしても、途中で母乳分泌が減少し人工栄養に変更せざるを得ない場合があると考えられますが、この場合には研究の対象から外されるのでしょうか?

そのようなことはありません。今回の研究では最初にどのような栄養法を選択したかをもとに解析をします。このような解析方法をintention to treat (ITT)といいます。もし、短期母乳や冷凍母乳を選択した方々の多くが、途中で人工栄養に変更せざるを得ないとしたら、このような栄養法を選択すること自体が実際上あまり意味をなさないということになり、現実的ではないという結論になる可能性もあります。しかし、現時点では研究が始まったばかりですのでこのような結論を出すことはできません。

HTLV-1母子感染はおもに母乳を介しておこるわけですから、人工乳にすることでよいのではないですか?なぜ、短期母乳や冷凍母乳も選択肢に入るのですか?

母乳には未熟な赤ちゃんの免疫力をサポートする成分や発達を促す成分が含まれています。また、肥満や脂質代謝異常、高血圧、インスリン抵抗性などのメタボリックシンドロームのリスクも人工栄養に比べて低いことも知られています。さらに母子の愛着形成を促す作用など、多くの利点があります。一方、4ヵ月以上の母乳哺育を行なうと、HTLV-1母子感染のリスクは完全人工栄養児の約3%にくらべて5〜6倍高くなることが明らかになっています。そのため、母乳栄養の利点を生かしながら、母子感染のリスクを減らす方法として、3ヵ月までの短期母乳栄養や冷凍母乳栄養が限定された地域で試みられ、完全人工栄養に匹敵する効果があったとが報告されています。しかし、これらの栄養法を用いた人数は少なく、理論上は母子感染予防効果があると推測されますが、医学的には十分な信憑性に乏しいと評価せざるを得ません。そこで、今回の研究で十分な対象数をもとに検証したいと考えているからです。

確認検査で陽性あるいは判定保留となった妊婦から出生した児のフォローアップは、通常の乳幼児健診のように自費診療で行うのでしょうか?

HTLV-1キャリアからの出生児が感染防止指導(栄養指導)や抗体検査等のため受診する場合には、医学的必要(HTLV-1感染の疑い)に応じた受診ですので、保険診療になると考えております。

ウエスタンブロット法による確認検査で陽性あるいは判定保留となった妊婦さんが研究協力施設を受診するための交通費は支給されるのでしょうか?

当初は交通費の支給も考えておりましたが、研究費の予算から捻出することは困難となりました。したがいまして、交通費の支給はありません。

2人目の妊娠で初めてHTLV-1抗体の検査を受け、確認検査で陽性という結果でした。最初の子は現在5歳になります。この子にもHTLV-1抗体の検査を受けさせた方がよいでしょうか?

子どもが感染したかどうかを母親が知っておくことは有用ではないかと思われます。もし、子どもがキャリアであった場合に、母親自身あるいは母親の要請を受け専門の医師が、子どもに適切なタイミングで感染について説明することができます。そうでなければ、献血や妊娠などの機会に突然本人が自分がキャリアであることを知ることとなり大きなショックを受け、さらに自分自身でインターネットなどから誤った知識を得てしまうことでかえって悩みを深めることにもなりかねないと思われるからです。

前回の妊娠時の検査でHTLV-1は心配ありませんといわれましたが、今回も検査は必要ですか?

前回妊娠時のHTLV-1抗体検査が陰性だった人が、今回の検査で陽性になる可能性があります。その理由は、HTLV-1は性感染もしますので、最初の妊娠時には陰性でも、次回の妊娠時に陽性化することがあるからです。妊娠の度に毎回、HTLV-1抗体検査を受けた方が良いでしょう。

第1子の分娩の際にHTLV-1キャリアといわれました。今回の妊娠にあたっても検査が必要でしょうか?

どのような検査法によってキャリアと判断されたのかによります。ウエスタンブロット法によるものであれば再度検査をする必要はありません。しかし、スクリーニング検査によるものであるとすれば、偽陽性(本当は陰性であるにもかかわらず陽性となること)率が高いためその時点でキャリアと判定することはありません。スクリーニング検査が陽性であっても確定できませんので、確認検査を行うことをお勧めします。

この研究に参加することが妊婦さんにとってどのような利点がありますか?

ホームページのビデオを視聴したり、研究班が開催する講習会を受講したスタッフが対応しますので、HTLV-1母子感染予防に関する一定以上のレベルの説明を受けることができます。また、3歳までをめどにお子さんの健康状態や成長・発達などを小児科医がフォローします。確認検査のウエスタンブロット法によって判定保留となった場合には、通常自費検査となるPCR法による詳しい検査が研究費で行われます(妊婦さんの検査に対する負担は、ありません)。さらに、本研究にご協力いただくことは、わが国のHTLV-1母子感染予防戦略の確立に貢献することになります。

里帰り分娩の場合には、研究対象に入れない方がよいのですか?

里帰り分娩の場合も研究対象に含まれます。WEB登録の患者IDを母親の現住所に最も近い協力施設にお知らせいただければ、引き続きフォローアップが継続されることになります。ぜひとも研究に協力していただきたいと思います。

産科クリニックの医師です。ウエスタンブロット法による確認検査の結果、HTLV-1キャリアあるいは判定保留となった妊婦の分娩は協力施設で行わなければならないのですか?

分娩施設は問いません。ただし、分娩前(妊娠35週あたりまで)に一度協力施設を受診し医療相談やカウンセリング、本研究の説明を受けていただけるようにご配慮ください。なお、研究協力施設以外で分娩する場合には、妊婦情報を研究施設に提供していただく必要があります。

協力施設のうちで「倫理委員会申請中」となっている場合には、妊婦さんを紹介することができないのでしょうか?

まだ本研究について施設の倫理委員会の承認が得られていないため、研究のための患者登録や研究費によるPCR検査はできません。あくまでも協力予定施設という意味です。

協力施設の医師です。どのようにしてHTLV-1キャリアあるいは判定保留の妊婦さんを集めればよいのでしょうか?

すでに各都道府県の母子保健行政の担当者や産婦人科医会の責任者あてに、この研究の概要をお知らせしてあります。また、各都道府県でHTLV-1母子感染対策協議会が設置されることが決定もしくは予定されています。もし、先生の地域で話し合いがされていない場合にはできるだけ速やかに会合を持っていただき(HTLV-1母子感染対策協議会、あるいは周産期医療協議会でもよいかと思いますが)、産科医療施設の諸先生方との意見調整や本研究の周知をお願いしたいと思います。

12 次へ

▲ページトップへ