研究目的

研究概要と目的(研究班代表より)

厚生労働科学研究成育疾患克服等次世代育成基盤事業の指定研究として、平成23年度より「HTLV-1 母子感染予防に関する研究:HTLV-1 抗体陽性妊婦からの出生児のコホート研究」の研究班が立ち上がりました。

最近の調査によれば、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス)キャリア数は約108万人で、20年前の約120万人に比べて予測したほどには減少していないことや、全国にキャリアが拡散する傾向にあることが明らかとなっています。HTLV-1はおもに母乳を介した母子感染で起こりますので、母子感染予防がキャリアを減少させる最も有効な手段です。
平成22年より妊婦健診におけるHTLV-1抗体スクリーニング検査が導入されましたが、エビデンスレベルの高い母子感染予防対策は十分とはいえず、また医療相談・カウンセリング体制、出生した児のフォローアップ体制の整備も急がれているところです。以下、私たちの研究班の研究概要について示します。

現時点では一部の県を除き上記の体制が整っていないことから、本研究班では、各都道府県の周産期医療の拠点である総合周産期センターや地域周産期センター(またはこれに準ずる施設)に研究の協力を依頼いたしました。各医療機関においてスクリーニング検査が陽性の妊婦さんに行われる確認検査で、陽性あるいは判定保留と判定された方々に研究協力施設を受診していただき、医療相談やカウンセリング、母子感染予防について詳細な説明を受けていただきます。

母子感染予防法には、完全に母乳を遮断し人工栄養を与える方法、生後90日までの短期間の母乳栄養に限定する方法、母乳を冷凍しその後解凍することによってHTLV-1感染細胞を破壊する方法があります。研究協力施設において十分な説明を受け、妊婦さん自身の意思でこれらの栄養法から選択していただきます。
さらに本研究班では、妊婦さんに研究参加の同意を得て、出生した児の継続的な診察(フォローアップ)を行い、栄養法の相違がお子さんの健康や母子間愛着形成に与える影響などを評価するとともに、3歳時点でHTLV-1抗体検査を実施し感染の有無を確認する予定です。同時に、出生後のフォローアップにより様々なかたちでご家族の不安にも対応することが可能となります。
この研究により、母子感染予防と児の健全な育成の視点に立ち、 HTLV-1抗体スクリーニング検査が陽性となった妊婦さんから出生した児の適切な乳汁栄養法を明らかにするとともに、将来の感染者を確実に減少させる施策の立案が可能になると考えております。何卒、皆様のご理解とご協力をお願いする次第です。

厚生労働科学研究補助金・成育疾患克服等次世代育成基盤(健やか次世代育成総合)研究
「HTLV-1母子感染予防に関する研究:HTLV-1抗体陽性妊婦からの出生児のコホート研究」(H26-健やか-指定-002)

研究代表者
板橋 家頭夫
(昭和大学医学部小児科学講座教授)

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